院長コラム

2018.02.19.

出生前診断と命の選別

ヒトの遺伝情報は両親から23本ずつ、計46本の遺伝子により伝えられますが、この遺伝情報の異変により生じるのがダウン症候群などの遺伝子病です。これらの異常は高年齢出産で出現しやすいため、晩婚化・高齢妊娠および少子化の傾向にともなって妊娠中の遺伝子診断の需要が高まっています。近年、羊水検査や母体血清マーカーなどに比べ、手軽で精度の高い新型出生前診断法(PIPT)が導入されました。しかし現在の優生保護法では「胎児の異常による中絶」を認めませんので、日本産婦人科学会は5年前から施設を限定し、検査には遺伝性疾患の説明やカウンセリングを義務付けて実施してきました。昨年9月の段階で5万例を超えるデータが蓄積されましたが、検査が陽性だったのは933人で、確定診断を行った781名のうち700人に異常がありましたが、90%を超える654人が中絶し、妊娠の継続はたった26人でした。

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2018.01.19.

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠中に呼吸が止まる!穏やかな話ではありませんが、家族や友人から無呼吸を指摘された方は睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれません。10秒以上呼吸が止まることを無呼吸、止まりそうなのを低呼吸と言います。正常の人でも呼吸が止まることはありますが、睡眠1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数を合わせた「無呼吸低呼吸指数(AHI)」が5回以上(睡眠7時間で30回以上)で習慣的ないびき、夜間の覚醒、日中の眠気や怠慢管などを認める場合をSASと判断します。
原因は肥満や小顎症、扁桃肥大、鼻炎などで気道がふさがる閉寒性(OSAS)と脳の呼吸中枢の機能異常でおこる中枢性(CSAS)に大別されますが、睡眠中にいびき、夜間頻尿、歯ぎしり、寝汗、寝言、夜驚(叫ぶ、飛び起きる)などを認めます。息が止まって酸欠になるため、朝の目覚めも悪く、口呼吸のために口腔の乾燥や頭痛を訴えることもあります。飲酒や喫煙、更年期などもリスクとなり、高血圧や心臓病、糖尿病など、生活習慣病の一因となっています。

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2017.12.15.

研究途上の 経口免疫療法

11月14日、食物アレルギーで経口免疫療法中の児童が心肺停止状態になったとの報道がありました。経口免疫療法は自然経過では耐性の獲得が期待できない症例に対し、事前に過敏食物の経口負荷試験を行い、症状誘発の閾値を確認した後に、原因食物を負荷しながら摂取量の増加、最終的に耐性の獲得を目指す治療で、現在、専門施設で研究的に「急速経口減感作」が行われています。この治療は症状誘発ギリギリの量を食べ続けるためにリスクが大きく、重篤な症状が出現することがあります。この治療法は決して新しいものではなく、私も大学時代に治療法のひとつとして実施しましたが、たびたびアナフィラキシー症状を誘発した苦い経験があります。事故は私が信頼する優秀なスタッフの揃った病院で慎重に進められてきた治療の中でおきたもので、残念でなりません。研究機関の専門医たちが事故を謙虚に受け止めて問題点の解決に努め、研究を継続してくれるよう願っています。

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2017.11.17.

帯状疱疹と神経障害性疼痛

帯状疱疹は水痘と同じヘルペス属ウイルスの感染です。初感染は水痘ですが、治った後にウイルスが脊髄や知覚神経節に潜み、加齢や過労、病気などで免疫力が低下すると、その神経の領域で再燃するのが帯状疱疹です。以前、水痘と帯状疱疹の流行には「シーソー」の関係がありましたが、水痘ワクチンが定期接種化されて水痘が減ったため、逆に帯状疱疹が増加してきました。
帯状疱疹では発疹前からかゆみやピリピリした痛みを自覚しますが、次いでその部分の皮膚が発赤し、複数の小さな水泡が出現してきます。発熱やリンパ節腫大を見ることもありますが、通常、抗ウイルス剤を用いれば一週間ほどでかさぶたができて治ります。しかし再発しやすく、時に帯状疱疹後疼痛といって激しい痛みが何年も続くことがありますので、ダメージが少ないうちの早期発見・治療が望まれます。新薬も登場していますが今のところ特効薬はなく、めまい・眠気・ふらつきなどの副作用に注意しながら薬剤を選択・加減しており、時に神経ブロック療法なども併用されます。

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2017.10.16.

大気汚染助成制度が変更になります

気管支喘息は適切な治療・管理を行えば、その多くがコントロール可能な疾患となり、昔の「発作治療」から発作が起きないようにする「予防治療」に変わってきました。特にステロイド吸入療法の導入により日常生活のQOLは改善し、喘息死も激減しましたが、この背景には高額な喘息治療費の患者負担をなくす助成制度の存在がありました。東京都の喘息の医療助成は15歳未満を対象に昭和47年秋から開始され、平成20年からは全年齢に無料化が拡大・実施されました。
ところがこの制度が来年3月から変更されることになりました。すでに平成27年度から18歳以上の新規成人患者の認定は終了していますが、18歳以上の成人患者は来年4月から毎月6千円まで自己負担となり、それを超える額を都が負担することとなりました。医療券は黄緑色から淡桃色となり、新たに自己負担限度額管理表が支給されますが、詳細は11月以降に公表されます。

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小児科・内科・アレルギー科

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